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政治犯が監禁されてる限り 2010年の選挙は 信用できない

Tuesday, December 28, 2010

ビルマ(ミャンマー)の政治囚たち

2007年8月23日、ヤンゴンの米大使館前で、「ビルマ人は母国にいながら囚人である」と国際社会の介入を訴えるウーオウンタンさん。非公開裁判で終身刑を言い渡された。(c)AAPPB 2007年8月23日、ヤンゴンの米大使館前で、「ビルマ人は母国にいながら囚人である」と国際社会の介入を訴えるウーオウンタンさん。非公開裁判で終身刑を言い渡された。(c)AAPPB
平和で民主的な世の中を願って、静かに意見を表明しただけで、警察や軍に捕えられ刑務所に入れられてしまう。私服警官が町かどを見張っていて、どこで誰が 何を言ったか、すぐに伝わってしまう……。それが今のビルマ(ミャンマー)です。逮捕されれば拷問が待っています。食べ物、着るもの、薬はなく、家族の差 し入れを頼るばかりですが、1000キロ以上も離れた刑務所では、家族もほとんど面会に来ることができません。2010年3月の時点で、ビルマの政治囚は 2100人以上と考えられています。
ここに紹介するのは11名の政治囚ですが、他にも多くの「良心の囚人」たちが、持病や拷問、劣悪な刑務所の環境によって発病し、今日この瞬間も苦しんでいます。彼らの日々を思いはかってみてください。
※( )内は、2010年3月時点での年齢です。

ミョウミンゾウ(33) さん/コウエイアウン(34)さん

ミョウミンゾウさん (c)private ミョウミンゾウさん 
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コウエイアウンさん (c)private コウエイアウンさん 
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ヤンゴンの学生だった1998年に、全ビルマ学生連合組合(ABFSU)のリーダーとして、民主化運動を呼びかけるビラ配りをしていたところを逮捕されました。拷問を受け、それぞれ52年と45年の刑期を言い渡され、北部の僻地にある別々の刑務所に入れられています。
2002年、コウエイアウンさんは病気の囚人に対する医療の改善を求めてハンストを行いました。その後の彼の情報についてはまったくありません。

クントゥンウーさん(66)

クントゥンウーさん (c)AAPPB クントゥンウーさん 
(c)AAPPB
ビルマの少数民族で最大のシャン出身で、シャン民主同盟(SNLD)の議長。
軍政への不満を扇動したとの理由で2005年に逮捕され、93年の実刑判決を受けました。さまざまな重い疾患をわずらっていますが、家族の面会は年2回までに制限されています。

ミンコーナインさん(47)

ミンコーナインさん (c)private ミンコーナインさん
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1988年の総選挙以来、民主化運動を続ける活動家。2007年のサフラン革命に関与したとして逮捕さ れ、65年の刑を言い渡されました。ミンコーナインさんのような活動家は、「88年世代」と呼ばれています。2007年の民衆運動に参加して逮捕された 「88年世代」の活動家は、ほかにも大勢います。
ミンコーナインさんは長期間、狭く薄暗い房に収容され、目を悪くしました。また、手のしびれ、痛風、高血圧に苦しんでいますが、十分な治療を受けられないでいます。

ウーガンビラさん(30)

ウーガンビラさん (c)private ウーガンビラさん
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燃料や食物など生活必需品が高騰し人びとの生活が苦しくなった状況を軍政に訴えようと、2007年7月、 僧侶たちが平和的な行進を始めました。その運動は徐々に各地の市民の間にも広がっていきました(サフラン革命)。ウーガンビラさんは、僧侶グループ ABMAのリーダーでしたが、2007年11月に逮捕され、拷問と虐待を受け、僧位は剥奪されました。
2009年、ウーガンビラさんは、アウンサンスーチーさんとすべての政治囚の釈放を求めてハンストを行いました。数回にわたり別の刑務所に移送されていま すが、独房に入れられたり、手枷足枷をはめられたり、殴られるなど、さまざまな拷問を受け続けています。また、しゃべらないように口に布を詰め込まれまし た。2009年5月に北部のカレ刑務所に移送されたとき、ウーガンビラさんは、衰弱が激しく話すこともできませんでした。

クンベデュさん(25)/クンコウリオさん(25)/クンディーデさん(26)

クンベデュさん クンコウリオさん クンディーデさん (c)NGY
カヤー州の少数民族、「赤カレン」と呼ばれるカヤンの出身。 2008年憲法の制定を問う国民投票の際に、憲法に反対すべきだと人びとに呼びかける活動を 行い、投票日に逮捕されました。30年の実刑を宣告されています。彼らは尋問中に水責めなどの酷い拷問を受け、叫ばないように口をテープでふさがれ、また ビニール袋で顔を覆われるなどしました。そうした拷問が原因で、健康を害しています。

ザルガナーさん(49)

ザルガナーさん (c)AAPPB ザルガナーさん
(c)AAPPB
ビルマの国民的人気コメディアン。1988年の民主化運動にも参加しており、以前にも逮捕されています。 2008年、サイクロン被災者のために私財をなげうって救済活動を行い、外国メディアに政府への批判を述べたことで逮捕されました。ザルガナーさん同様、 サイクロン被災者を助けて食糧を提供したり死者を埋葬したために逮捕された人びとが約30名います。
ザルガナーさんの刑期は35年で、現在カチン州北部の刑務所に収監されています。彼は重い甲状腺機能亢進症を患っています。2009年4月16日、房の中で二時間にわたって意識を失いましたが、病院に移送されたのはその10日も後でした。

スースーヌウェさん(37)

スースーヌウェさん (c)private スースーヌウェさん
(c)private
労働運動家でNLDのメンバー。2007年の反政府デモの際に逮捕され、8年6カ月の刑を言い渡されました。現在、ヤンゴンから1900キロも離れたビルマ北部ザガイン管区のカムティ刑務所に収監されており、ヤンゴンに住む家族はなかなか面会に行くことができません。
スースーヌウェさんは心臓病と高血圧に苦しんでいます。刑務所の劣悪な環境によって、病状はさらに悪化しています。最近の情報によれば、刑務所当局は、彼女に治療を施さず、飲料水や食事や着替えなど家族による差し入れも却下しました。

ウーオウンタンさん (62)

ウーオウンタンさん(c)private ウーオウンタンさん
(c)private
長年にわたって民主化を求めてきた活動家のウーオウンタンさんは、2007年、たったひとりでヤンゴンの 米国大使館前で囚人服をまとい、「ビルマ国民は母国にいながらにして囚人である」というメッセージを発して逮捕されました。囚人たちを救うために、ビルマ 国民も国際社会も立ち上がってほしいと、彼のプラカードには書かれていました。弁護士もつかないまま密室裁判が行われ、ウーオウンタンさんは「治安妨害・ 扇動」の罪で終身刑を宣告されました。
ウーオウンタンさんが収監されているビルマ北部のカムティ刑務所はマラリアが蔓延した地域にあり、彼は重 い脳マラリアにかかっていることが2008年6月のアムネスティ調査で判明しました。脳マラリアは死に至る危険があります。ウーオウンタンさんは他にも腎 臓結石や高血圧などの病気に苦しんでいます。

ビルマの人々をサポートしてください

ビルマと 三つの自由
ビルマでは20年ぶりの全国選挙の実施が近づいています。
1990年の前回の選挙では国民民主運動(NLD)の圧倒的勝利にもかかわらず、軍事政権はこの結果を無視して、その権力支配を脅かす反対派勢力の人々を多数逮捕しました。

こんな事態を再度招くことは許されません。

ビルマの5千万人の人口の多くは貧しい生活を送っています。そして国の統治者に異議を唱える人々は、嫌がらせ、逮捕、拷問、投獄、そして時 には死刑の対象となります。多くの人々が独房に監禁され、医療手当を拒否されて、家族や愛する人々から隔離された生活を余儀なくされています。
ビルマでは2,200人以上もの政治囚が投獄されており、彼らは単に表現、集会、結社の自由への権利を行使したことを理由に沈黙を強いられています。

今こそ行動を起こす時です

ビルマが選挙への準備を進めるにつれ、世界はビルマに注目しています。投票日が近づくにつれ、ビルマの軍事政権を非難するようにビルマの隣国の外務大臣達への圧力が高まっています。
こうした外務大臣に圧力をかけて、ビルマの表現・集会・結社の三つの自由を擁護するには、今が非常に重要な時機です。
独裁者はいずれ滅ぶことを、私達は歴史から学んでいます。そして最も巧妙に組織された腐敗の激しい必死の政権が崩壊することも。ただしそれは少数の有力者によってではなく、多くの人々が絶えず注意を払い続けることによって実現します。
ビルマで抑圧が継続するまま、選挙が実施されるのを私達は黙認することはできません。あなたの協力があれば、2010年の選挙実施までの期間とそれ以後ビルマの人々が保護を受けられるようにするための抗議の波を世界中に広げることができます。
私の手紙を送る